「最近の大企業って、なんか面白くないよね...」
こんな声、よく聞きませんか?新製品が出ても「まあまあかな」という感じ、新しいサービスも「無難だよね」という印象。昔の大企業が持っていたワクワク感が最近は薄れているような...。
実はですね、この「面白くない」の裏には、ある理由が隠れているんです。今日はその話をしたいと思います。
仕事には2種類あるんです!
会社の仕事って、大きく分けると2つのタイプがあります。まず「創造系の仕事」。これは例えば、誰も見たことがないような新商品を作ったり、今までにない仕組みのビジネスを考えたり、常識を覆すような新しい技術を生み出したり、誰もやったことのないような宣伝方法を考えたりする仕事です。
もう一つは「分析系の仕事」。市場調査をしたり、データを分析したり、リスクを管理したり、業務を効率化したりする仕事です。
おもしろい違い:成功確率
この2つの仕事、実は成功する確率がぜんぜん違うんです。創造系の仕事は、成功する確率がなんと0.3%!「千三つ」という言葉があるように、1000個のアイデアがあっても当たるのは3つだけかもしれません。でも、当たれば大きな価値を生み出せます。失敗も次の成功のヒントになることが多いんですよ。
例えば、こんな話を聞いたことありませんか?「この商品、若い社員が独自に開発したものなんですが、予想外に大ヒットしまして...」「失敗した製品から思わぬ発見があって...」
一方、分析系の仕事は時間とお金をかければ99.7%の精度が出せます。確実に成果を出せて、失敗も少なく、努力が数字として見えやすいんです。「前年より15%も効率が上がりました!」「問題を98%も減らせました!」というような成果が出やすいですね。
大企業でよく起こること
ここからが大事なポイントです。大企業になればなるほど、優秀な分析型の人が増えます。一流大学出身者は分析が得意な人が多いですし(入試が分析力重視だから)、安定を求める人が大企業に集まりやすいですね。また採用時にも分析力が評価されがちです。
そして分析型の人は出世しやすくなります。なぜなら、失敗が少ないから評価も安定していて、成果を数字で示せて、短期間で結果を出しやすく、お金の管理も上手だからです。
逆に創造型の人は出世しにくくなります。失敗が目立ちやすいですし(大企業は失敗に厳しいことが多い)、成果を数字で示しにくく、予算を超えてしまうことがあり、「変わった人」と見られがちだからです。
こうして、大企業では分析型の上司や経営者が増えていきます。
会議室での風景
分析型が多い会社の会議では:
「新しい事業の案について:市場の大きさは約〇〇億円、成功する確率は35%、初めに必要なお金は△△億円、回収までに◇年かかります→リスクが高いので、もう少し検討しましょう」
創造型が多い会社の会議では:
「面白そうだから、まず小さく始めてみない?失敗しても勉強になるし、お客さんの反応を見てから考えればいいよね。みんなのやる気も上がるし!」
特許でのケース
例えば、競争相手が特許を真似してきた場合も違いが出ます。分析型の専門家は「裁判のリスク分析です:勝つ確率は65%、費用は〇〇百万円、会社の評判への影響も考えると、もう少し証拠を集めてからでは?」と言いますが、創造型の経営者は「勝つ確率30%?それって結構いいじゃない!戦うことで学ぶこともあるし、社内のやる気も上がる。将来への抑止力にもなるよね」と考えるかもしれません。
成功企業から学ぶこと:ソニーとホンダの例
昔の成功企業には、実はある共通点がありました。例えばソニーでは、井深大さんが創造系のリーダーとして次々と新しいアイデアを生み出していました。そして盛田昭夫さんが分析系のリーダーとして、そのアイデアを実際のビジネスとして形にしていったんです。二人がタッグを組んだからこそ、ソニーは革新的な会社として成長できたんですね。
同じようにホンダでも、本田宗一郎さんが創造系のリーダーとして革新的なエンジン技術を開発し続けました。その一方で、藤沢武夫さんは分析系のリーダーとして経営面をしっかり支え、販売網を築いていきました。この二人の組み合わせがあったからこそ、ホンダは世界的な企業に成長できたんです。
つまり、会社が成功するためには、新しいアイデアを生み出す力と、それを現実のビジネスにする力の両方が必要なんですね。
スタートアップに期待が集まる理由
今、多くの人がスタートアップに期待するのは、この「創造と分析のバランス」がまだ取れているからなんです。スタートアップでは、たいてい創造系の創業者がビジョンを示します。「こんな世界を作りたい!」「この問題をこう解決したい!」という大きな夢を描くんですね。
その一方で、分析系のメンバーがそのビジョンを現実のものにするための道筋を考えます。資金計画を立てたり、市場を分析したり、リスクを管理したりするんです。
スタートアップは小さな組織なので、意思決定が速いのも特徴です。「やってみよう!」と思ったらすぐに行動できます。また失敗を恐れない雰囲気があって、「失敗したら次に活かせばいい」という前向きな考え方が浸透しています。小さな組織なので、創造系と分析系のメンバーが日常的に会話し、アイデアを交換できるのも強みです。
これからの企業に必要なこと
では、これからの企業がバランスを保つためにはどうすればいいでしょうか?
まず大切なのは、創造系と分析系の人材を意識的に混ぜることです。同じような考え方の人ばかりでチームを作るのではなく、あえて違うタイプの人を一緒に働かせることで、お互いの良さを引き出せます。
次に、小さな挑戦を許す雰囲気を作ることも大切です。「失敗したらどうしよう」と恐れるのではなく、「小さく始めて、うまくいったら広げていこう」という考え方を広めることで、新しいアイデアが生まれやすくなります。
また、失敗から学べる仕組みを作ることも重要です。失敗を責めるのではなく、「何を学んだか」を共有し、次に活かせる文化を作りましょう。
長い目で見た評価の仕方を取り入れることも必要です。短期的な数字だけでなく、「新しいことにチャレンジしたか」「将来につながる学びがあったか」といった点も評価すると、創造的な取り組みが増えます。
最後に、部門を超えた会話を増やすことも効果的です。営業と開発、マーケティングと技術など、普段あまり話さない部門同士が交流することで、新しいアイデアが生まれやすくなります。
まとめ:大切なのはバランス
0.3%の挑戦か、99.7%の安全策か。正解はきっと、両方のバランスなんです。会社の大きさに関係なく、この2つの考え方のバランスを保つこと。それが企業の元気の秘訣かもしれません。
このバランスを保つのは、実は私たち一人一人の意識次第。あなたの会社や部署はどちらが多いですか?あなた自身はどちらが得意ですか?ぜひ、周りを見てみてください。きっと新しい発見があるはずですよ!